|
国民経済計算(SNA)について
国民経済計算とは英語で(System of National Accounts)と訳されます。
なのでこの頭文字3つとって、SNAと言われたり、1993年に国連が推奨したものなので93SNAと言われたりします。
簡単に説明すると、国が行わなければならない会計基準なわけです。企業では企業会計原則などで、財務諸表を作ったりしますが、これの国単位の基準がSNAです。
これは日本だけでなくほかの国でも使われている統一基準であり、これでマクロ経済活動が統計的に把握されているんです。
ではこのSNAって具体的に何なのかってことを説明していきます。
|
国内総生産(GDP) |
|
粗付加価値 |
|
純付加価値 |
固定
資本
減耗 |
|
国内純生産(NDP) |
海外から
所得の
受取分 |
雇用者
報酬 |
営業余剰
混合所得 |
生産・輸入に課される税
(−補助金) |
| 国民所得(NI) |
生産・輸入に課される税
(−補助金) |
| 国民純生産(NNP) |
| 国民総所得(GNI) |
| 国民総支出(GNE) |
海外から
所得の
受取分 |
民間
消費支出 |
政府
消費支出 |
国内総固定
資本形成 |
在庫品
増加分 |
財貨・サービスの
輸出分 |
|
国内総支出(GDE) |
|
上の表がSNAの図解です。
一つずつ理解していきましょう!
まずは上の4行から見ていきます。
まずは言葉の説明から。
|
国内総生産(GDP) |
|
粗付加価値 |
|
純付加価値 |
固定
資本
減耗 |
|
国内純生産(NDP) |
|
付加価値
生産活動によって新しく付け加えた価値。生産された物から生産するために用いた原材料を差し引いた額。
例(一個100円のパン、原材料が小麦粉20円分とすると、付加価値は100-20=80円分である。)
国内総生産
国内で生み出された付加価値の合計。外国人が日本で稼いだ所得も含まれる。
国内純生産
固定資本減耗を含まない付加価値分。
固定資本減耗
生産で使われて消耗する機械などの減耗分のこと。
粗付加価値とは固定資本減耗分をも含めた付加価値であり、純付加価値というのは固定資本減耗を除いた分の付加価値のことです。
これから「粗」や「純」という言葉がよく出てくるのですが、この「粗」というのは固定資本減耗を含めるという意味合いで、「純」というのは固定資本減耗を含めないという意味があります。
固定資本減耗という考え方は経済学では非常に重要になるんですが、最初どのようなものと捉えるかは難しいかもしれません。実は僕も最初苦労したんですよね。。。
機械などは原材料とは違って、使ったからといってすぐになくなるわけではないですよね。しかし、年数がたっていずれは故障したりで使えなくなる時がやってきます。この機械の耐久年数(使える期間)が10年だとすれば、購入費用の1/10を1年間の固定資本減耗として計上していきます。
これで上の4行はオッケーですよね!
次は国内純生産(NDP)から下の4行を見ていきます。
海外から
所得の
受取分 |
雇用者
報酬 |
営業余剰
混合所得 |
生産・輸入に課される税
(−補助金) |
固定
資本
減耗 |
| 国民所得(NI) |
生産・輸入に課される税
(−補助金) |
| 国民純生産(NNP) |
| 国民総所得(GNI) |
|
国民所得
日本人の可処分所得(税金などを差し引いた使えるお金)。外国に住む日本人の所得分も含まれている。
国民純生産
日本人が作り出した付加価値の合計。固定資本減耗は含めない。
国民総所得 日本人の所得全部の合計。
外国に住む日本人の所得も含まれる。
雇用者報酬
企業などに雇われている雇用者の給料の合計。
海外から所得の所得の受取分
外国に住んでいる日本人が稼ぎ出した所得分
営業余剰・混合所得
営業によって、得て時期運転資金となるお金。または個人事業主の得た所得など。
生産・輸入に課される税
生産するときや輸入の際にかかる税金。補助金が差し引かれる。
最後に下の3行についての説明です。
| 国民総支出(GNE) |
海外から
所得の
受取分 |
民間
消費支出 |
政府
消費支出 |
国内総固定
資本形成 |
在庫品
増加分 |
財貨・サービスの
輸出分 |
|
国内総支出(GDE) |
|
国民総所得
日本人の所得全部の合計。
外国に住む日本人の所得も含まれる。
国民総支出
日本人の支出分。
理論上貯蓄などもすべて含まれるため、所得=支出となる。
民間消費支出
民間人による支出分。
政府消費支出
政府による支出分。
国内総固定資本形成
民間+政府による投資金額。
在庫品増加
生産額の在庫品の増加分。対象は前期比とする。
財貨・サービスの輸出分
国外に販売された財貨やサービス。
国内総支出
日本内部の支出合計。
国内総生産(GDP)の定義
以上の国民経済計算の図解を理解できれば、自ずと国内総生産の定義という意味合いがわかってくるはずです。国内とは日本国内でという意味合い。日本国内にいる外国人なども含まれます。
「総」というのは固定資本減耗分も含むという意味合いです。
そうなると国内総生産とは、日本国内で固定資本減耗分も含めて生産された財貨ということになります。
また国民経済計算から3面等価の原則が成り立つことも意味します。
次はこの3面等価の原則について説明します。
3面とは、生産面・分配面・支出面ということです。生産されたものは、誰かに分配されているし、さらには誰かの所得になり、そして誰かに使われているということになります。
3面の生産とは国内総生産(GDP)のことであり、分配面とは国内総所得(GDI)のこと、
支出面とは国内総支出(GDE)のことです。
国民経済計算を見ればすべてが等しくなることがわかるはずです。
| 生産 |
付加価値の合計 |
| 分配 |
雇用者報酬+営業余剰・混合所得+間接税-補助金+固定資本減耗 |
| 支出 |
民間消費支出+政府消費支出+総固定資本形成+在庫品増加+海外経常余剰 |
また頭文字の意味を理解するためにもここに英語の意味合いも記入しときます。
理解に役立ててください。
| 国内総生産(GDP) |
Gross Domestic Product |
| 国内純生産(NDP) |
Net Domestic Product |
| 国民所得(NI) |
National Income |
| 国民純生産(NNP) |
Net National Product |
| 国民総所得(GNI) |
Gross National Income |
| 国民総支出(GNE) |
Gross National Expenditure |
| 国内総支出(GDE) |
Gross Domestic Expenditure |
速報値と確報値
どの指標でもそうなのですが国内総生産(以後GDPとする)には、速報値と確報値があります。
よくテレビなどで速報GDPということがでたりします。その後に上方修正や下方修正といったことを聞きますが、これは速報と確報に違いがあるからです。
現状の景気判断として速報値が必要とされ、実態を正確に反映させることとして確報値が必要とされます。どちらも重要なのでどっちかにするとかはできません。
そして株にしても債券にしてもワラントにしてもFXにしても、非常に重要なのがこの速報値です。
速報値は公表時期を早めるために、早期に利用できる資料などから値を割り出します。
しかし速報値などは意図的にマクロ経済状況をよく見せるために、何かの政策的配慮がされることがないということが言い切れないのです。
つまりはあえて偽の情報を作られるかもわからないのです。
速報値にはこの恣意的な面があるので、早すぎる情報には注意する必要があります。
そして少しずつ修正が加えられて確報値が与えられます。
4つ種類があり、
@一時速報
A二次速報
B確報
C確々報
があります。
一時確報は一ヶ月前後、二次速報は2ヵ月後、確報は毎年12月、確々報は2年後の12月に公表されます。ま!投資に使えるのは一時と二次速報ぐらいになっちゃいますけどね。
名目と実質
次は名目GDPと実質GDPについて説明します。
いつだったか忘れましたが、日曜のワイドショーである政治家がびっくり発言していました。「実質ではなく名目GDPが伸びればいいんだ!」的なことです。
今話をわかりやすくするために、価格変動がないことにします。
価格変動がなければ確かにGDPが伸びるということが、生産量が伸びるというにつながります。
しかし、価格変動があるのが通常の経済です。
そして価格変動を含めた値としてのGDPが名目GDPです。
極端な言い方をすれば価格が2倍になれば、実際の経済はなんら変わりなくても名目GDPは2倍になるんです。
実質GDPとはこの価格変動を抜かして、仮にすべての値段が一定の時の生産量の大きさを表します。この二つの意味をしっかりとらえて置かないと、投資を行うときには危険です。
価格変動が起きているのにもかかわらず、名目GDPの値にばっか頼ってしまったりしてしまいます。
価格が1%上昇したら、名目GDPはもちろん1%以上の上昇がないと、景気後退局面にあると見ることができます。ざっくりの話ですけどね。。。
なので投資をする際にはGDPはGDPでも名目なのか実質なのか、
速報なのか確報なのかということを確認してから投資材料として使いましょう! |
|